この度の「東日本大震災・大津波」により被害を受けられた皆様に謹んでお見舞い申し上げます。
下記の雑損控除に関する現行税制をそのまま適用することが実態等に照らして適当でないと考えられることから、緊急措置が講じられ阪神・淡路大震災時の対応を拡充したものとして「雑損控除の特例」が措置されました。
1.住宅や家財等に係る損失の雑損控除については、22年分の所得について適用することが可能です。
2.損失額が大きくてその年の所得金額から雑損控除しきれない場合には、5年間(現行3年間)を限度として翌年以後に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。 |
雑損控除
災害減免法による
所得税の軽減免除 |
1.雑損控除を受けるための手続は、雑損控除に関する明細書を付けて、雑損控除に関
する事項を記載した確定申告書を提出します。
2.災害等に関連して支払ったやむを得ない支出がある場合には、その領収書も添付しま
す。
3.その年の所得金額の合計額が1000万円以下の人が災害にあった場合には、災害減
免法による軽減方法がありますので雑損控除といずれか有利な方法を選択することによ
って、所得税の全部又は一部を軽減できます。 |
り災証明書の提示 |
Q:確定申告書の提出の際に、り災証明書を必ず提出又は提出を必要としますか?
A:雑損控除又は災害減免法の適用は、り災証明書の提出又は提示することにはなっていませんが、り災証明書を所持していない者については、それに代わる被害の状況が分かる書類等の提出等を求められることになります。 |
□雑損控除の対象となる損害の原因
□異常な災害
□盗難による被害
□横領による損失 |
雑損控除の対象となる損害の原因が異常な災害による場合のケースは、次の通りです。
1.震災、風水害、冷害、干害、雪害、落雷、噴火などの自然現象の異変による災害
2.火災、鉱害、火薬類の爆発などの人為による異常な災害
3.害虫、害獣その他の生物による異常な災害
他の損害原因による場合の用語解説
□ 盗難とは、自己の意思に反して財物を窃取されたり強取されたことによる被害をいい
ます。
□ 横領とは、自己の財物を占有する第三者によってその財物を不正に領得されたこと
による損失をいいます。
詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられないことに注意が必要です。 |
雑損控除の対象となる資産 |
雑損控除の対象となる資産は、生活に必要な資産です。
雑損控除の対象となる資産は、居住者又はその者と生計を一にする一定の親族の有す
る生活に通常必要な住宅、家具、衣類などの資産に限られます。
雑損控除の対象となる資産とならない資産の概要は、こちらにあります。 |
雑損控除額と
繰越控除額 |
雑損控除として控除できる金額と繰越控除は、次の通りです。
□ 雑損控除として控除できる金額は、次の二つのうちいずれか多い方の金額と
なります。
(1) 差引損失額 − 総所得金額等 × 10%
(2) 差引損失額のうち災害関連支出の金額 − 5万円
□ 損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、3年間を
限度として翌年以後に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。 |
差引損失額 |
上記の雑損控除額の計算上必要となる差引損失額の計算は、次の通りです。
差引損失額 = 損害金額 + 災害関連支出の金額 − 保険金などによって補填さ
れる金額
□ 損害金額は、損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基にして計算した
損害の額です。
なお、平成26年分から、損害を受けた資産が減価償却資産である場合には、その資産
の取得価額から減価償却費累積額相当額を控除した金額を基礎として損害金額を計算
することができます。
□ 災害関連支出の金額は、災害により滅失した住宅、家財を除去するために支出した
金額などです。
□ 保険金などにより補てんされる金額は、災害などに関して受け取った保険金や損害賠
償金などです。 |
個人が支払を受ける災害見舞金で、その金額がその受贈者の社会的地位、贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては、課税しないものとされています。 |
住宅借入金等特別控除 |
初年度の住宅借入金等特別控除の適用は、年末調整ではなく確定申告書を提出する必要があります。住宅ローン控除・お気軽にお問い合せ下さい。 |
所得税の
確定申告期限延長
納税猶予の制度 |
地震などの災害により申告等をその期限までにできないときは、所轄の税務署長に申請
し、期限延長の承認を受けることにより、その理由のやんだ日から2ヶ月以内の範囲でそ
の期限を延長することができる制度があります。 |
損害を受けられた資産の所有者は、一定の親族の場合もありますので雑損控除の対象となる親族の範囲については、災害と税金教室2:損害を受けた資産の所有者の適用要件に掲載いたしました。 |